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ストック・オプション

【2018.12.1更新(今後微修正予定)】
ストック・オプションは、発行に際し、いくつかの条件をクリアすると税務上の優遇を受けることができます。(税制適格ストック・オプション)
また、行使の条件・行使不能の条件をどのようにするか等、様々な検討事項があります。
当事務所では、目的をヒアリングした上で、その目的を達成するためのストック・オプションの設計をし、発行手続を進めます。

1.ストック・オプションとは

ストック・オプションとは、会社の役員・従業員等が一定の権利行使期間内にあらかじめ定められた権利行使価格で所定の数の株式を会社から取得することのできる権利をいい、会社法のもとでは、新株予約権の形態で付与されるのが一般的です。
その性質は、非金銭報酬であって、将来被付与者に実現する利益の額が株価等に連動していることにより、被付与者に対し、その労務提供等による将来の株価向上等への動機付け(インセンティブ)を行うもの、すなわちインセンティブ報酬の一類型であると一般に解されています。
(参考:『新株予約権ハンドブック』商事法務 初版 P114~)

1-1.活用方法の1つ:手元資金の不足の補完

いわゆるベンチャー企業など、手元資金が不足し現金流出を避けたい会社においては、現金での報酬・賃金を支払う代わりにストック・オプションを付与することで、現金流出を抑えつつ人材を確保するという効果を得ることができる場合があります。
ただし、ストック・オプションは、それを行使して取得した株式を売却することにより最終的な利益を得る形態の報酬であるため、当該発行会社が株式を公開しているか、近いうちに公開する可能性がなければ(事実上、ストック・オプションの行使により取得した株式の売却の機会が見込まれず、)ストック・オプションが現金での報酬・賃金の支払の代替物として機能することは困難となります。したがって、ストック・オプションは、事実上、上場会社か、数年のうちに上場することを目指しているような会社において有効に機能するものと考えられます。

2.税制適格型ストック・オプションとは

通常、ストック・オプションは権利行使により、時価を下回る価額で株式を取得したことにより経済的利益を受けたものとして、権利行使時に課税されます。
しかし、ストック・オプションが一定の要件(租税特別措置法第29条の2)を満たす場合(=税制適格型ストック・オプション)、権利行使時には課税されず、取得した株式の譲渡時まで課税が繰り延べされることとなります。
また、行使価額と株式売却価額との差額が全額株式譲渡所得となり、税率が20%で固定され、タックスプランニングがしやすいという利点もあります。

2-1.株価の動きとストック・オプションと税金

下記値動きの株式でどのような税金が発生するでしょうか。



2-2.申告分離課税とは

所得税は、各種の所得金額を合計し総所得金額を求め、これについて税額を計算して確定申告によりその税金を納める総合課税が原則です。
しかし、一定の所得については、他の所得金額と合計せず、分離して税額を計算し(この点が総合課税制度と異なります。)、確定申告によりその税額を納めることとなります(この点が源泉分離課税制度と異なります。)。これが申告分離課税制度です。
(国税庁ホームページ タックスアンサーより)



2-3.年間税額の比較

例:給料の課税所得金額500万円の人が上記のストック・オプション(100株分)を行使した場合
※無視しているものは色々ありますが、どのくらい差が出るか、大まかに計算してみます。

税制適格型ストック・オプションの場合
給与所得税 5,000,000円×20%-427,500円=572,500円…(1)
株式譲渡益課税 190,000円×100株×20%=3,800,000円…(2)
合計((1)+(2)) 4,372,500円…(A)

税制非適格型ストック・オプションの場合
課税所得金額:(5,000,000円+170,000円×100株)
=22,000,000
給与所得税:22,000,000円×40%-2,796,000円
=6,004,000円…(3)
株式譲渡益課税:20,000円×100株×20%=400,000円…(4)
合計((3)+(4)) 6,404,000円…(B)

税金の差額((B)-(A)) 2,031,500円

株価の値上がりが大きければ大きいほど、株数が多ければ多いほど差が広がります。
また、税制非適格型の場合、株式を譲渡しない場合でも、新株予約権を行使して株式となった時点で所得税を支払わなくてはならない。
(株がまだ現金になっていなくても上記(3)の税金を払わなくてはならない。)

『給与所得から算出される住民税・社会保険』の金額などを考えると、さらに差が大きくなります。

※税務に関する詳細は税務の専門家にご相談ください。

というわけで、税金面で優遇が大きい税制適格型ストック・オプションですが、その要件をみていきましょう。

3.新株予約権(ストック・オプション)税制適格要件

税制適格要件が規定されている「租税特別措置法第29の2」「租税特別措置法施行令第19条の3」をまとめると以下のとおりとなります。

3-1.税制適格要件まとめ

以下の1.から10.の要件を満たすことが必要となります。

税制特例適用要件
1.無償で発行された新株予約権であること
※報酬との相殺として発行された新株予約権は、対象となりうるようですが、この議論は専門書に譲ります。
2.対象者が会社又は子会社の取締役又は従業員であること
※〇パート従業員・アルバイト従業員等、×監査役
3.当該権利者が当該会社の発行済株式総数の10分の1(未公開会社においては3分の1)を超える大口株主及び大口株主の特別関係者でないこと

付与契約内容上の要件
4.権利行使が付与決議日から2年を経過した日から10年を経過する日までに行われなければならないこと
※付与決議日が平成29年10月15日だとすると、平成31年10月16日から平成39年10月15日までです。
5.権利行使価額の合計額が年間1200万円以下であること
6.権利行使価額が権利付与時の株式時価以上であること
※非公開会社の株式時価の算定は困難。
→実務上は直近の増資価格・譲渡価格などが適用されているようです。
(経済産業省WEBサイト参照:所得税基本通達23~35)
7.新株予約権を譲渡してはならないとされていること
8.権利行使に係る株式の交付又は新株の発行が、当該交付のために付与決議がされた会社法第238条第1項会社法上の決議事項に反していないこと
9.株式が一定の方法により証券会社等に保管の委託等がなされること

付与に関する調書の提出
10.会社は、権利付与日の属する年の翌年1月末までに「特定新株予約権等付与に関する調書」を税務署に提出すること

4.税制適格ストック・オプションの発行に関して

税制適格ストック・オプションを発行するためには上記「3-1.税制適格要件まとめ」の要件を満たす必要がありますが、それ以外にもストック・オプション発行に際し、
ア.株主総会決議
イ.取締役会決議(又は取締役決定)
ウ.新株予約権発行要項
エ.新株予約権割当契約
等が必要となります。

また、会社の状況・実現したいことによって、特に上記「ウ.新株予約権発行要項」、及び「エ.新株予約権割当契約」の内容をオーダーメイドで設計していく必要があります。

ストック・オプションの発行の予定がございましたら、経験豊富な当事務所にぜひご相談ください。

お問い合わせ TEL 03-6447-4508 電話受付時間10:00~18:00
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