分配可能額とは

分配可能額とは、剰余金の配当、自己株式の買取など、株主に対して金銭等を交付する場合において、当該金銭等の帳簿価額の総額が超えてはならないとされる額のことであり、会社法第461条第2項に従って計算される額をいいます。

分配可能額に関する条文(会社法第461条)

(配当等の制限)
第461条 次に掲げる行為により株主に対して交付する金銭等(当該株式会社の株式を除く。以下この節において同じ。)の帳簿価額の総額は、当該行為がその効力を生ずる日における分配可能額を超えてはならない。
 (一~八号省略:配当・株主と合意による自己株式の取得など)

2 前項に規定する「分配可能額」とは、第一号及び第二号に掲げる額の合計額から第三号から第六号までに掲げる額の合計額を減じて得た額をいう(以下この節において同じ。)。

一  剰余金の額

二  臨時計算書類につき第441条第4項の承認(同項ただし書に規定する場合にあっては、同条第3項の承認)を受けた場合における次に掲げる額
 イ 第441条第1項第2号の期間の利益の額として法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額
 ロ 第441条第1項第2号の期間内に自己株式を処分した場合における当該自己株式の対価の額

三  自己株式の帳簿価額

四  最終事業年度の末日後に自己株式を処分した場合における当該自己株式の対価の額

五  第二号に規定する場合における第441条第1項第二号の期間の損失の額として法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額

六  前三号に掲げるもののほか、法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額

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上記条文では、色々と難しく書いてありますが、大枠としては以下の内容で覚えておけばほぼOKだと思います。

「分配可能額=その他資本剰余金+その他利益剰余金-自己株式の帳簿価額」

分配可能額規制を違反して配当をした場合、自己株式の取得をした場合には、金銭等の交付を受けた株主と業務執行取締役等は連帯して、会社法第462条に定める分配可能額の欠損填補責任が生じます。

また、純資産の額が300万円以上ない場合は株主への分配ができない旨、注意が必要です。(会社法458条、会社計算規則第158条第6号)