株式分割

株式分割の登記を最近申請しました。

株式分割といえば条文的には以下のとおりです。

(株式の分割)
第百八十三条 株式会社は、株式の分割をすることができる。
 株式会社は、株式の分割をしようとするときは、その都度、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
 株式の分割により増加する株式の総数の株式の分割前の発行済株式(種類株式発行会社にあっては、第三号の種類の発行済株式)の総数に対する割合及び当該株式の分割に係る基準日
 株式の分割がその効力を生ずる日
 株式会社が種類株式発行会社である場合には、分割する株式の種類

手続きとしては、基準日を定めるのが特徴的ですね。

基準日に関する条文は↓です。

(基準日)
第百二十四条 株式会社は、一定の日(以下この章において「基準日」という。)を定めて、基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている株主(以下この条において「基準日株主」という。)をその権利を行使することができる者と定めることができる。
 基準日を定める場合には、株式会社は、基準日株主が行使することができる権利(基準日から三箇月以内に行使するものに限る。)の内容を定めなければならない。
 株式会社は、基準日を定めたときは、当該基準日の二週間前までに、当該基準日及び前項の規定により定めた事項を公告しなければならない。ただし、定款に当該基準日及び当該事項について定めがあるときは、この限りでない。
 基準日株主が行使することができる権利が株主総会又は種類株主総会における議決権である場合には、株式会社は、当該基準日後に株式を取得した者の全部又は一部を当該権利を行使することができる者と定めることができる。ただし、当該株式の基準日株主の権利を害することができない。
 第一項から第三項までの規定は、第百四十九条第一項に規定する登録株式質権者について準用する。

3項の但書が司法書士には馴染み深いです。定款で基準日を定めれば、基準日設定公告は特段いらない…という解釈ですね。

会社法の立法担当者の書いた書籍でも、ここについて定款で定めることにより、株式分割は最短1日で完結できる旨の記述があったと記憶しております。

ただ、数年前に某判例で定款で定めた場合でも2週間の期間を取るべきだと示されました。

さて、実務家としてはどうしましょうか、というところではあります。

結論としましては、株式上場している会社でなく、株式分割の内容が株主に特段不利益がないのであれば、判例のようにしなくてもよいのではないかと考えます。

上場株式の場合は、分割によって流動性がアップして株価に影響があることが考えられますので、それ相応の手続きがあって然るべきでしょう。

非公開会社では、株式分割は基本的に1株あたりの価額を下げることが目的であって、微妙な分割比率を採用しなければ株主にとって不利益は基本的に生じないと思われます。

株主の方々への説明等も一緒に検討する司法書士でありたいですね。

企業法務/商業・法人登記
港区の司法書士・中小企業診断士
長克成