設立時の出資履行の時期(株式会社・発起設立)
株式会社を設立する際は、発起人が設立時発行株式を引き受け、その出資に係る金銭を払込む必要があります。
で、その出資の履行時期について。
巷に溢れる会社設立関連のWEBサイトでは、かなり多くのサイトで
「必ず定款認証がされた後に払込みを行ってください」と記載されています。
中には、「定款認証の前に払込みをすると設立登記が却下・補正の対象となります」とまで書いてあるものもあります。
会社法の条文を素直に読むと定款認証→出資の履行となるのですが、
登記実務では、そのような順番でなくてもOKのはずです。
商業登記ハンドブック第3版P92~93を引用すると
(引用開始)----
出資の履行は、定款につき公証人の認証を受けその効力が生じたとき(法30条1項)以後にされることが多いと思われる。ただし、発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数は、定款又は会社法32条1項の発起人全員の同意により定まるから、登記実務上、出資の履行の時期は、定款の認証前であっても、定款の作成又は当該発起人全員の同意の後であれば差し支えないとして取り扱われている。(『商業登記ハンドブック第3版』松井信憲 商事法務 P92~93より)
----(引用終わり)
とあり、その根拠となる先例も記載されています。
(さらに言うと、法務省民事局商事課発「会社法等の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いに関するQ&A」3-17という根拠もあります。)
私の経験としても、今まで相当数の会社設立に関わりましたが、定款認証→出資の履行という順番で設立をした会社はかなり少数です。
書類へ押印いただく回数を考えてみても、定款認証→出資の履行という流れでは、定款認証のためにまず押印いただき、定款認証後払込みをし、再度必要書類に押印いただく必要があり、設立会社の関係者の方に対し負担をかけてしまいます。
私は通常、発起人が出資について定める→出資の履行→定款認証という流れで、東京近郊では当たり前のように設立登記を行っていましたが、先日、かなり遠隔地の設立登記依頼をいただきました。
ローカルルールがあってはいけないと、念のため管轄法務局に問合せをしてみました。
あっさり、取扱いは変わらないですよ、というお返事をいただきました。
しかし、あれだけの数の会社設立関連WEBサイトで「定款認証の後でなければ出資の履行はダメ」と書いてあるからには、やはりダメな場合・ダメなところもあるのでしょうか…。
ちなみに、私は、無いと思っています(笑)
最終的には、設立を行う方・設立に携わる専門家、各自の判断でしょうね。
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