近年、資本金の額の減少(以下「減資」と言います)手続の依頼が増えております。

その目的としては、外形標準課税の適用を避けるため(決算時点での資本金の額が1億円以下にする)、分配可能額の確保などの理由が多いです。

外形標準課税の概要についてはこちら(東京都主税局)

分配可能額についてはこちら(当サイト内リンク)

では、減資に関する手続きの流れについて見ていきましょう。

スケジュール

減資を行うにあたり、スケジュールが重要となります。

2023年3月31日を効力発生とした場合の、減資の概算のスケジュールを引いてみますと、下記のスケジュールのようになります。

必要な手続きは次の大きく2つ。

1.株主総会による資本金の額の減少決議

2.債権者保護手続

なお、以下のような場合を想定しています。
・非公開会社
・公告方法が「官報」
・直近の決算公告を行っていない

直近事業年度の決算公告を行っていない場合は、減資手続きの開始から完了まで2か月程度要しますので、スケジュールにはご注意ください。

1.株主総会による資本金の額の減少決議

減資を行うには株主総会での資本金の額の減少決議が必要となります。

決議する内容としては以下のとおりです。(会社法第447条第1項)

1.減少する資本金の額
2.減少する資本金の額を準備金とする場合はその旨と額
3.効力発生日

この決議は株主総会の「特別決議」です。

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(資本金の額の減少)
第447条 株式会社は、資本金の額を減少することができる。この場合においては、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
 減少する資本金の額
 減少する資本金の額の全部又は一部を準備金とするときは、その旨及び準備金とする額
 資本金の額の減少がその効力を生ずる日

2.債権者保護手続

減資を行う場合は、債権者保護手続が必要となります。

債権者保護手続とは、1カ月以上の期間を定めて、減資を行う株式会社の債権者に対して、資本金等の額の減少について異議を述べることができる旨をお知らせする手続です。

具体的には、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければなりません。ただし、3の期間は、1カ月を下ることができません(官報公告の掲載+催告書の到達から1カ月以上の期間が必要)

1 当該資本金等の額の減少の内容
2 当該株式会社の計算書類に関する事項として法務省令で定めるもの(直近事業年度の貸借対照表の要旨)
3 債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨

官報公告

官報とは「法令の公布紙・国の広報誌」。全国紙で内容は全国同一です。

法令等の公布・公広告等が掲載されており、国の開庁日には毎日発行されております。(土曜日・日曜日・祝日・年末年始は休刊)

全国にある官報販売所に公告掲載の申込みを行います。(公告料金が発生します)

申込みから掲載までの期間は、公告の種類によって異なります。

・本紙行公告:およそ1週間

・枠公告・号外行公告:およそ2週間

※公告の詳細に関しては司法書士までお問い合わせください。

債権者への個別の催告

会社の知れたる債権者には個別の催告をする必要があります。

一般的には、郵送により催告書を発送します。

※債権者への個別催告の詳細は司法書士までお問い合わせください。

債権者からの異議

債権者が所定の期間内に異議を述べなかったときは、減資について承認をしたものとみなされます。

債権者から異議が述べられて場合は、当該減資をしても債権者を害するおそれがないときを除いて、会社は弁済・相当の担保の提供等の措置を取る必要があります。

効力発生

1.株主総会による資本金の額の減少決議

2.債権者保護手続

の手続が完了し(1と2は順不同)、株主総会で定めた効力発生日が到来すると減資の効力発生となります。

資本金の額は登記事項ですので、効力発生から2週間以内に減資の登記を申請する必要があります。

減資手続はスケジュールの策定が最重要事項です。

手続きには短くても2か月程度は要します。

減資を行うこととなりましたら、早めに司法書士にご相談ください。