種類株式の解説:第3回「取得請求権(金銭への転換請求権)」

種類株式の内容について解説・検討するシリーズの第3回です。

取得請求権(金銭への転換請求権)

取得請求権が付された種類株式(取得請求権付種類株式)とは、株主が株式会社に対してその種類株式の取得を請求することができる株式のことです。

取得の対価としては、一般的には普通株式又は金銭が設定されることが多いと思われます。

今回は、取得の対価が金銭で設定された取得請求権付株式についてです。

株主が会社に対して、請求をすることにより種類株式を金銭に転換することができます。

取得請求権(金銭への転換請求権)に関する一般的な定款記載例

A種優先株主は、いつでも、会社法第461条に定める分配可能額を限度として、当会社に対し、金銭の交付と引換えに、その有するA種優先株式の全部又は一部を取得することを請求することができるものとする

「いつでも」の部分には「●年■月▲日以降」「○○がされた場合」等の条件を設定することも可能です。

「会社法第461条に定める分配可能額を限度として」と記載されていますが、この記載がされていなくても、交付される金銭の額には分配可能額の範囲である必要があります。

分配可能額についてはこちらをご参照ください。(当サイト内リンク)

対価の定め方

対価である金銭の額の定め方は、割と自由です。

  • 出資時の払込金額相当額
  • 未払分の累積優先配当金(種類株式(1):優先配当の回で解説)
  • その他特定の金額
  • 一定の計算式を定めて算定される金額
  • 上記の金額の組み合わせ
  • 上記のうち最も高い金額

などなど、設定することが可能です。

金銭対価の定め方の一例

当会社は、1.2.のいずれか高い額の金銭を、当該A種優先株主に対して交付するものとする。

  1. A種優先株式1株当たり払込金額
  2. 〇〇〇〇

↑は、1.出資額と2.で定めた算出方法で出た金額のうち、高い方の金額で株式→金銭への転換がなされる内容ですね。

結び

第3回は、種類株式の内容として「取得請求権(金銭への転換請求権)」について見てきました。

次回は「取得請求権(株式への転換請求権)」について考えてみようと思います。

企業法務/商業・法人登記
港区の司法書士
長克成