会社の本店を移転する場合の手続きに関してまとめます。

本店移転に関する決議

本店移転をする場合、市区町村が変わるか否か(定款変更の必要性の有無)で必要な決議が異なります。

定款変更

会社の定款には最小行政区画(市町村・特別区)までを定める必要があります。

よって、会社の本店所在地の市区町村が変更となる場合は、株主総会で定款変更の決議が必要です。

例:東京都港区→東京都渋谷区 栃木県栃木市→栃木県宇都宮市

なお、定款で具体的な本店所在地の住所を定めている場合は、同一市区町村内であっても定款変更が必要となります。

本店移転決議

本店移転に関して、具体的な新本店所在場所と本店移転時期を決定する決議(以下「本店移転決議」とします)が必要となります。

決議機関は取締役会の有無によって、以下のとおり場合分けされます。

取締役会設置会社:取締役会決議

取締役非設置会社:株主総会決議 又は 取締役の過半数の一致

決議パターン

上記「定款変更」と「本店移転決議」から、本店移転に関する決議パターンとしては、主に以下の4つになります。

1.市区町村が変更となる場合(取締役会設置会社)

 →株主総会:定款変更 + 取締役会:本店移転決議

2.市区町村が変わらない場合(取締役会設置会社)

 →取締役会:本店移転決議

3.市区町村が変更となる場合(取締役会非設置会社)

 →株主総会:定款変更+本店移転決議 又は 株主総会:定款変更+取締役の過半数の一致:本店移転決議

4.市区町村が変わらない場合(取締役会非設置会社)

 →株主総会:本店移転決議 又は 取締役の過半数の一致:本店移転決議

本店移転登記

本店移転決議で定めた本店移転時期の到来+実体的な本店の移転が行われると、本店移転登記を申請することとなります。

法務局の管轄が変更となるか、否か

法務局は会社の本店住所によって、管轄法務局が決まっています。(各法務局のホームページで確認できます。)

本店移転によって、法務局の管轄が変わらない場合(管轄内本店移転)と法務局の管轄が変わる場合(管轄外本店移転)で、登記申請のやり方が異なります

管轄内本店移転

管轄内本店移転の場合は、登記申請は1件で、現在本店のある管轄法務局1か所のみで審査が行われます。

登録免許税は3万円、審査期間は通常の変更登記と同様です。

管轄外本店移転

管轄外本店移転の場合は、登記申請は2件となり、旧本店・新本店の管轄法務局の2か所で審査が行われます。

登録免許税は6万円(登記申請が2件だから)、審査機関も少し長くなります(2か所で審査されるから)

加えて、新本店の管轄法務局において、会社代表印の登録・印鑑カードの新規発行手続が必要となります(法務局の管轄が変わるから)

管轄が変わると少し負担(費用・時間・手続)が重いということを意識いただければと思います。

本店移転登記完了後

本店移転登記が完了すると、会社の新本店の住所が記載された登記簿謄本・印鑑証明書が取得できます。

その後、金融機関、税務署、社会保険関連等において会社の本店移転に伴う手続きが必要となります。