株式会社の設立手続きについて、改めて考えるシリーズ第3回:会社の本店です。
第1回はこちら→改めて考える株式会社設立(1)‐スケジュール
第2回はこちら→改めて考える株式会社設立(2)‐商号
設立時の定款で定める必要がある「本店」について、今回は見ていこうかと思います。
本店
本店(の所在地)は、会社の住所ですね。(会社法第4条)
以下のような点が会社の本店に関する、要件・検討事項・ポイントとなります。
本店に関する要件・検討事項・ポイント
- 定款に定める必要があるのは最小行政区画(市町村・特別区)まで
- 建物名・部屋番号まで登記するかは任意
- 本店所在地によって管轄法務局/管轄公証人が決まる
- バーチャルオフィス等の問題
各種検討
定款への記載方法
「1」についてですが、設立時に作成する定款に記載する本店所在地の必須事項は「最小行政区画(市町村・特別区)」までです。
例:当会社は、本店を「東京都港区/栃木県栃木市」に置く。
具体的な本店所在地の住所については、定款の付則又は発起人の過半数の決定により定めればOKです。
もちろん定款本則で具体的な住所まで記載してもかまいませんが、会社設立後に同一の市区町村内で本店を移転する場合でも株主総会の特別決議が必要となることに注意です。
登記する本店住所
「2」は登記簿に記載する本店については丁目地番(●丁目●番●号/●丁目●番地)までは必須ですが、建物名や部屋番号については任意です。
登記された本店住所は「国税庁 法人番号公表サイト」などで公開されますので、プライバシーの観点・郵便物等の届きやすさなどを検討のうえ、どこまで登記するか判断されるとよいかと思います。
管轄法務局/管轄公証人
「3」本店の所在地によって、設立登記を申請する法務局と定款認証を行う公証役場が決まります。
管轄法務局については、各都道府県の法務局ホームページの中の「登記管轄一覧」から確認できます。
公証役場については、基本的に各都府県内(北海道内は管轄が複数あるので注意)の公証役場であればどこの公証役場でも大丈夫です。
バーチャルオフィス等の問題
一般的に会社の本店とは、会社の事業活動の中心となるものであり、対外的にも取引ができる人的・組織を備えることを要すると解されています。
登記に使える住所として私書箱等を貸し出すようなサービスがありますが、上記のような機能が備えられるのか…微妙なところであります。
銀行口座を開設する際にも審査的に厳しいという話も聞きますので、よくご検討ください。
結び
今回は、会社設立時の本店について見てきました。
今後は事業目的、株式に関すること等に触れていこうかと思います。
企業法務/商業・法人登記
港区の司法書士
長克成