株式会社の設立手続きについて、改めて考えるシリーズ。
最初はスケジュールから。
よくある質問として「会社設立にはどのくらいの期間必要なのか?」があります。
理論的には1日で可能ですが、なかなか現実問題としては難しいです。
実際のところは、発起人・設立時役員に各種準備をどのくらいでやっていただけるか、がスケジュールの一番重要なところかと思います。
各当事者が主に行うことは以下のとおりです。
発起人にやっていただく主なこと
- 定款記載内容の決定
- 個人印鑑証明書の取得
- 発起人代表の銀行口座へ出資金の払込み
- 定款認証委任状(定款付)への押印
設立時役員にやっていただく主なこと
- 会社代表印の作成(※)
- 個人印鑑証明書の取得
- 設立登記必要書類+印鑑届出書への押印
(※)
どうしても急ぎの場合は、仮の印鑑を使用して設立登記を申請し、設立登記完了後に改印するといった対応も可能です。
司法書士のやること
- 定款の作成
- 公証役場とのやりとり(定款内容確認・定款認証など)
- 設立登記必要書類+印鑑届出書の作成
- 設立登記申請
上記の中で、司法書士がやることに関しては、かかる時間は限りなく0に近づけることが可能です。(公証役場とのやりとりについては、地域差が多少ありますが、訪問可能な公証役場@東京であれば計1~2日の短い時間で対応することが可能かと思います。)
設立(登記申請)までのスケジュール的には「印鑑証明書の取得」「出資金の払込み」「書類への押印」がどのくらいの期間でできるかが肝になります。
設立登記申請後のスケジュール
設立登記申請によって会社は成立しますが、その後、実際に事業を行うまでには時間を要します。
設立登記完了までの期間
会社の各種手続きに必要な登記簿謄本・印鑑証明書(会社)を取得するには、設立登記が完了しなければなりません。
平成30年3月12日から会社の設立登記のファストトラック化が行われ、法務局へ設立登記書類が到達した翌営業日から3執務日目までに登記が完了することが案内されています。(なお、登記申請件数の多い時期等を除く。)
参考:平成30年3月12日から,会社の設立登記のファストトラック化を開始します。(法務省)
以前に比べて設立登記完了までのスピードは速まっているように感じますが、それでも登記簿謄本等が取得できるまで、1週間程度の期間を考えておいた方がよいように思います。
その後の必要な手続き
会社の登記簿謄本・印鑑証明書が取得できれば、各種事業に必要な手続きが可能となります。
- 銀行口座の開設
- 税務署への届出
- 労務関係の届出
- 許認可の手続
- 創業融資の手続
特に銀行口座の開設は、時間を要することが多いようです。
条件を満たせば、申請後1日で口座開設を謳うネット銀行などもありますので、うまく活用いただくと事業開始までの期間を短縮できるのではないかと思います。
次回からは、定款の内容について見ていきたいと思います。
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長克成